熱工学部門プロジェクト

流れ加速型腐食による配管の劣化メカニズム解明

 高温水が流れる配管では、材質や水質などの条件が重なると配管が腐食し、その腐食が流れにより加速される現象(流れ加速型腐食)が生じることがあります。 流れ加速型腐食は、オリフィスや曲がり管のような、流れが乱れるような配管要素で発生しやすいため、数値流体シミュレーションにより流れ場の構造を再現し、配管腐食に及ぼす影響を調べています。
この動画は、オリフィスと呼ばれる絞りがある管内の流れの様子を再現したものです。絞りにより周期的に渦輪が生じ、 それが徐々に小さな縦渦に分裂して壁面近傍へ衝突する様子が示されています。この渦により、配管中心付近を通る水が 次々と壁面に輸送され、鉄成分を連れて流れ去るといったメカニズムが大分わかるようになり、腐食しやすい場所の特定ができるようになりました。

熱疲労現象による配管の劣化メカニズム解明


配管をT字型に接続したT字管と呼ばれる配管において、高温水と低温水が合流するような場合、 温度の変動により配管内の応力も変動し、配管が疲労損傷することがあります。 熱疲労と呼ばれるこの現象を対象に数値流体シミュレーションを行い、時々刻々と変動する流れ場と温度分布を再現し、発生箇所の特定や発生メカニズムの解明を進めています。
この動画ではT字管内での温度分布を表示しており、高低温水が混合する様子を可視化しています。 水平方向の太い管では冷水(青色、25℃)が流れ、鉛直方向の分岐管から温水(赤色、60℃)が合流しています。 温水は水平管内で激しく変動しながら冷水と混ざり合っていく様子が確認できます。 このような温度変動の再現を通して、配管のどの部分で応力の変動が発生しやすいかを特定することができます。

壁面凝縮熱伝達の数値計算モデル開発


原子力発電所で配管破断等により高温水が噴出すると(図3)、1次系機器を格納している原子炉格納容器内で温度・圧力が上昇し、格納容器の健全性が保てなくなる可能性があります。 温度・圧力は壁面へ伝わる熱量に大きく依存しています。そこで、主要な壁面伝熱モードである壁面凝縮熱伝達を対象に、数値計算モデルの開発に取り組んでいます。