公立小松大学生産科学科受験生特設サイト 公立小松大学生産科学科受験生特設サイト

SECTION1

身近なものにアレ?

  • 便利な機能を持った面白い機械がつくられ、家庭、工場、病院、遊園地など、さまざまなところで我々の生活を快適にしてくれています。機械を使ってみると、“どうやってその機能や性能を実現しているのか?”という疑問がわいてきます。
    調べてみると、性能が良いものの多くは、原理がはっきりしていてシステムも単純な構造をしている気がします。最近は機械学習などを活用して、構造や仕組みもブラックボックスのまま使っているものもあります。便利ですが、最初に用意したパラメータを最適に調整するという手法をとっていて、本質的な調整や改善というより、与えられた条件の中で結果が高得点ならOKみたいなものづくりになっているのかもしれません。
    本研究グループでは、機械の開発などでアレっと感じたとき、新たな原理が隠れていないかについて実質的に調べていきます。実験装置については、自作することが多く、他では測定できないようなデータ収集を試みながら、ブラックボックスの解明を目指しています。百やって駄目でも、一成し遂げられればよしと割り切り、まずやってみることから始めています。

SECTION2

広く浅く、ときどき深く

  • 研究分野を特に決めていませんが、主に構造体の変形や破壊など力学的な問題を扱ってきました。
    最近では、スポーツ工学に関係していることが多くなっています。選手の動作やスポーツ用具に関する研究分野で、航空宇宙の最先端材料から木材、さらに身体までと、ありとあらゆる材料を対象にしていて、アレっと思うことだらけです。
    実験を行うために、装置設計、試験材料や装置部品の加工・組立、実験環境整備や輸送など設営的な準備が必要です。力センサや静電センサなどをつくることもあります。これらの準備が研究時間の9割以上を占め、実験やその考察の時間が短く感じられるためか、機械設計や加工・電子回路設計の専門家だと勘違いされることもあります。研究室の学生たちにとって、この経験が社会に出てから役立っていると思いますし、研究テーマとは関係なく、さまざまな分野において活躍できるものと考えています。

SECTION3

スキーと雪

  • ここではスキー研究についてご紹介します。
    初期のころは、スキーヤーの動作について調べていました。装着したまま滑走できる計測装置(図1)などを開発し、スキーヤーの動作と雪面反力(6軸)やターン軌跡の関係について少し明らかにできたと考えています。また、スキーロボット(図2)を作製し、人間では難しい動作についても調べました。これらより、体の重心位置を意識して、股関節の外内転動作を適切に行えば、上手にカービングターンできることなどがわかりました。
    スキー板にもセンサを組込み(図3)、これまでわかっていなかった滑走中のスキー板のたわみや圧力分布などを明らかにできました。また、これらの結果を参考にしてスキー板の開発も行われました。 さらに調べていくと、雪の機械的特性を把握することが欠かせないことがわかってきました。中谷宇吉郎先生が始められた雪の研究は、多くの研究者に引き継がれながら発展してきています。本研究室では、スキー研究に使いやすい形にまとめられればと、近年は雪の摩擦や変形特性について実験的に調べています。本学にはマイナス20℃まで制御できる低温室があります。また、使用する雪は、本研究室で開発した人工除雪装置(図4)で作っているため、一年中いつでも実験可能です。このような実験環境は全国でも珍しく、民間を除いて防災科学技術研究所にあるぐらいです。

  • 図1 計測装置を装着したスキーヤー

    図2 スキーロボット

    図3 スキー板のたわみおよび圧力分布測定センサ

    図4 本研究で作った人工雪

SECTION4

どこで役立つの

  • 滑る研究をしているということは、どうやったら滑らないかという研究をしていることと同じです。得られる結果は、スポーツ用具だけではなく、雪タイヤの開発に使えます。屋根雪や電線の着雪氷対策にもつながります。南極地域観測では、雪上車で橇(そり)を牽引して物資輸送(図5)を行っていますが、そこでも役立っています。

  • 図5 南極地域観測隊の物資輸送

ABOUT

ゼミ学生に聞いてみた。
香川先生ってどんな人?

  • 香川先生は知識が非常に豊富なので、自分たちが知らないことをたくさん教えてくださいます。話しやすく、質問もしやすいのですが、優しいだけでなく、研究に関しては厳しさも併せ持つ香川先生。自分たちでは気づけない細かな箇所を指摘してくれるところにも感謝しています。