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EXPLAINER

説明員:
教員、学科4年、
大学院修士2年

SECTION1

雪の研究

  • 「気分は南極!雪のある低温実験室」というテーマでお話をします。 で、この研究室、実はどんな名前かというと、実は「加工・材料工学研究室」という名前です。教員は私を含めて全部で三人いるんですよ。やっていることはですね。 まず一つは「スポーツ工学及び雪氷」の研究をしています。 具体的には、スキーターのメカニズムの解明とか、南極観測の内陸輸送で使用する雪上車とかソリの走行性能の評価なんかを行っています。 で、もう一つがですね、「材料工学」の研究です。 これは、材料の変形、接着、摩擦、潤滑など、力学特性に関する分析や評価を行っています。 さらにですね、「機械加工学」の研究もやっています。 これは、ニューラルネットワークによる機械学習やロボットなどを使った高度な機械加工装置の開発をしています。もうすでに見てきたかもしれませんが、二番目のロボット体験のテーマがそれですね。 で、今日ここで見ていただくのは一番上の研究の話になります。 基本的にスキーについて研究をしているわけですけども、そのために何が必要かというと、滑っている時にスキー板から雪面にどんな力をかけているのか、これ逆に言うと雪面からどんな力が作用しているのかを知ることです。これがとっても大切なんです。 滑ってますから、雪表面をこするように摩擦力が作用します。それからですね、スキー板が雪表面に食い込みますよね。そのときに雪を踏み込む力が作用しています。さらに、ターンをしたりする時には、雪を押しのけるような力も作用しますね。 摩擦なんですけども、雪がよく滑ることを皆さんも知っていますよね。だけど、何でよく滑るのかって、実はまだ完全には分かってないんですよ。いろんな考え方があるんですけど、答えが出ていないですね。それから、滑っているときに雪はどのように押し固められるのかっていう話もですね、実はまだよく分かっていないんです。さらに、スキーターンで、横方向に踏ん張るときに雪が耐えないといけないですよね。じゃないと曲がれない。でも、どのぐらいの力に耐えられるのかっていう辺もよく分かってない。なので、そういうことを調べているわけです。 どんな装置が必要かというとですね。 まずは低温実験室が欠かせません。この壁の向こう側がそれですが、ここではマイナス20度までの実験ができます。このような部屋は他の大学にもあると思います。 で、あとですね、うちは雪を使った実験なので、雪をたくさん作らなきゃいけないということで、造雪装置があります。この装置は、自分たちで開発したんですよ。で、実はですね、世界中の大学の中で、粒子の大きさのそろった大量の雪を作れる装置を実験室内に持っているのは、うちだけなんです。日本だと国の研究機関である防災科学技術研究所や自動車メーカーなどにありますね。海外だとスイスやフランスなどにもありますけど、特別な研究機関にあるだけです。その他はみんな外の雪を使うしかないですね。 具体的な実験装置については後で簡単に説明ありますけど、どんな実験するかは、このスライドのような感じです。 摩擦の実験ですね。速度や温度などを変えて調べていますよ。これは、押し込み実験の様子です。スキー板に見立てたものを雪面に垂直に押し込んだ後、水平に動かすと、雪面がどういう風に変形するのかを調べていますよ。 またですね、これは顕微鏡を使った装置で、摩擦が作用する雪面を観察した写真です。滑っている時に、雪面とスキー板って接触してるよね。だけど、全面が接触しているわけではないんです。写真のこの直線は一ミリの大きさなんだけど、この赤丸に囲まれた非常に小さな部分しか接触してないんですよ。そういうことも分かっています。 じゃあ、ちょっと時間がないので、早速、皆さんに南極みたいな体験をしてもらおうと思います。これからマイナス20度に順番に入ります。防寒服を着て低温室に入ったら、南極みたいなパウダースノーを用意していますので、それを実際にちょっと触ってみてください。そして、雪合戦で使うような雪玉を作ってみてください。







SECTION2

低温実験室

  • ここからは、私たちが実験装置について説明します。 先ほど説明にあった雪を作る装置なんですけど、私が卒業研究で開発した装置です。 私は大学院生なんですけど、今は大学で作った雪を使って、雪を押し込む力についての研究をしています。これらの装置も自分で設計して作りました。このように垂直と水平の二方向に押し込むことができます。そのときの雪の変形の様子を観察しながら、作用力も測定できます。 私は4年生で、卒業研究で摩擦の研究をしています。この装置を使って、滑っているときに雪表面に水ができるのか、水ができると摩擦力の大きさはどうなるのかなどについて調べています。 では次に、私からこの部屋と雪について説明させていただきます。私も大学院生です。 この低温実験室の中で、実験や雪の作成を行ってます。 この装置によって、今マイナス20度まで冷やしてあります。室外と比べると50度ぐらい違いますね。 先ほど先生から伺ったと思うんですけど、これらは私が作った雪玉です。実際に触ってもらって大丈夫なんで、手に持ってみてください。結構硬い雪玉ができてるかなと思います。 これらは、そっちの二つの箱に入っているパウダースノーから作ったんですけど、みなさんもちょっと雪玉を作る感じで触ってみてください。 どうですか、雪玉はできましたか。パウダースノーは、北陸の湿った雪と違って、なかなか固まりませんよね。じゃあ、どうやったら固い雪玉を作れるのでしょうか。ちょっと考えてみてください。 正解は、「形を丸くしたら、何もせずほったらかしにする」です。ちょっと変な感じがするかもしれません。しかし、雪の粒子は焼結現象により、時間とともに周囲の粒子と結合する性質があります。だから何もせずに待つだけでいいんです。こねたりすると結合したところが壊れて、逆になかなか固まりません。不思議ですよね。