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STUDENTS

生産システム科学専攻2年 池田 理玖

SECTION1

はじめに

  • 8月 20 日から 25 日(現地時間)の 6日間,アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフラ ンシスコ・ベイエリアに 位置する, シリコンバレーで研修を行った.私自身,今回の研修 が初の海外であり,事前準備からすでに高揚していた.事前の PBL 講座は論文の締め切り とスケジュールがバッティングしてしまい, すべて参加することができなかったが,参加 者確定後に行われた事前説明会には 3回とも参加でき,現地担当の B-Bridge International Inc. の桝本博之 特任教授 をはじめ,我々の研修に協力してくれる引率教 員や参加企業の方々と交流することができた. 事前研修から桝本 特任教授 には常に 「Proactive (積極的に)行動しよう!」と言わ れており,自己紹介や質疑,意見などは Proactive に発言しようと心がけていた.普段から地声が大きく,自分の意見は発言する 正確であり,その性格は今回の研修にはとても適していたと,研修後に改めて感じたとこ ろである. 今回の研修のテーマとして,「企業の課題を学生と共に解決する」というミッションが あり,私は小松市の竹内さんのチームへの配属を希望し,チーム竹内として,「デジタル 技術を駆使した観光復興」というミッションを決め,シリコンバレー研修で訪れるスタン フォード大学で アンケート をすることにした. アンケート 内容は事前に Google Forms で 作成し,現地では QR コードを提示する方針にした. 研修の詳細は次のとおりである.

SECTION2

1日目

  • 初日( 20 日)は,事前に早め早めの行動のおかげで, ZIPAIR でのサンノゼ空港直通便 エアチケットを購入することができたので, 20 日の 11 時 30 分頃にはサンノゼ空港に到着 することができた.午後からサンノゼにあるテックインタラクティブ (以下,テック ), ウィンチェスターミステリーハウス (以下,ウィンチェスター を見学し,ウィンチェス ターの後に,近くの散策スポットである,サンタナ ・ロウ に行き,サンノゼ屈指の観光ス ポットを直接 見に行った. テックに向かうために Uber をハイヤーした際,テスラが到着した.まずサンノゼにつ いて一番驚いたのはテスラの数.日本では見ることないほどの台数が 街中を走っており, また, EV バスもかなり走っており,すでに電気自動車へとシフトしているなと感じた.同 時に日本車はそれ以上に多かったので自動車産業ではまだまだ日本の地位が確立されてい ると感じた. テスラに乗った際,スマホのナビアプリがディスプレイに表示されていた が,通信表示が「 5G +」になっていた.日本では 5G すらエリアが限定的で,まだまだ 4G が主流であるのに対して,すでに一歩先に進んでいて,これがシリコンバレーだなと実感 させられた. すぐ 5G+ について調べたが,詳細がほとんどなく,世界的にもまだまだその 存在すら知られていな いものだと理解した. その後,テックやウィンチェスターを訪れたが,正直,テックは子供向けの施設で,最 先端技術が展示されてはいなかった. ウィンチェスターもこれと言って心に残った学びや 発見はなかった.ただ,サンタナ・ロウに直結しているため,観光地として成り立ってい る感じ であった.そして,サンタナ・ロウはサンノゼを代表する観光スポットで,ショッ ピングや食事が充実しており,お店の前にもテーブルとイスがたくさんあり,いろんな人 がお酒を交わしながら交流したり,ミュージシャンが演奏をしたりと,日中からとてもに ぎわっていた.そして日本の観光地との違いとして,ごみ箱の数.日本だと,食べ歩きス ポットなどはゴミを捨てる場所がなく, ごみの処分にとても困るのに対して,サンタナ・ ロウやその周辺はごみ箱から別のごみ箱が見えるくらい至近距離にたくさん設置されてお り,便利だなと思ったし,実際,ごみ箱が 多いからか,捨てられているペットボトルなど がほとんどなかった.日本でも,埼玉県の川越の食べ歩きスポットでは深刻なごみ問題を 解決するために,別店舗で購入したもののごみでも受け取るという取り組みを始めている ため,それが全国的に広がれば観光が活性化されると思った.

SECTION3

2日目

  • 2日目( 21 日)は,ホテルでオリエンテーションを行い,その後,小松市長の講演, Mizuho USA の植松氏に「デザイン思考」のレクチャとワークショップを行った. この際, AOKI 財団のプログラムに参加していた横浜市の中学生団体が合流し,一緒にワークショッ プを行った.まず市長のお話では,市長の経歴や小松市の現状の子育て制度や,今後の事 業などについて講演していただいた.今回私は,小松市の課題がテーマであったので,こ の講演でより現状を把握することができた.特に,今後,北陸新幹線が小松駅に止まるた め,より観光に力を入れる必要がある.小松の特徴として,空港と主要駅が近いというこ と.これを活かして,小松駅と小松空港を自動運転EVバスでつなげるプロジェクトが現 在進行中であることを 知った.自動運転に関しては日本の法律が厳しすぎてまだまだ試験 運用すらハードルが高いのが現状である. しかし,サンフランシスコでは 8月 10 日に自 動運転タクシーの商用運行を認可した.自動運転車両がすでに公道を走っているため,日 本との違いは何なのか,どのようなスピードで,どんな止まり方,曲がり方,車間距離は どうなのか,それらを自らの目で確認する必要があるなと思った. 植松氏のデザイン思考のレクチャでは,実際に中学生とペアを組み,「コップ」をデザ インするワークショップを行った.相手が今朝飲ん だ飲み物,何と飲んだのか,いつ飲んだのか,なぜ その飲み物を選んだのか,毎日飲むのかなどヒヤリ ングし,その人に適したサービスを含んだコップを 提案するという流れ.実現可能性とかは一切問わな い,発想力を養うようなものであり,とても難しか ったし,短時間で相手の習慣や 課題を読み取り,具 体化するという経験は学生時代にはなかなか経験し ないことであり,とてもいい経験になった.そして同じことを中学生が 行っていることに とても感心した. 午後からは Meta Headquarters に行き,その後, Apple Park Visitor Center にて, Apple で Mac OS の GUI 開発に従事している,秋場寛氏に質疑応答の 時間を作ってもらい,たくさん質問することができ たし,考え方や,アメリカから見る日本など,我々 とは全く別視線の意見をいただきとても刺激になっ た


SECTION4

3日目

  • 3日目( 22 日)はスタンフォード大学を視察 した のち, Googleplex, Intel Museum を訪 れた.スタン フォード大学で Medical Director である池野文昭 氏のお話を聞くことができた.私は今回の講演の中で池野氏が最も印象に残っている人で ある.とてもパワフルで,何事もはっきりと意見を述べており,何より長年スタンフォー ド大学で競争し続けてきたという絶対的な自信に満ち溢れており,すごく刺激的で,もっ といろんなことを聞きたかった. その後,ランチタイムを利用し,スタンフォード大学内で事前に作成した QR コードを 手に アンケート を行った.最初は話しかけるのも勇気が出ず,弱気になっていたが,初め て話しか けた人が快く承諾してくれたのがきっかけとなり, 結果的にスタンフォードでは 10 人ほど 承諾していただくことができた. Googleplex は中に入ることはできなかった が, 現在の言語系や画像系の AI モデルの基盤となるアーキテクチャを開発した Google の 本社を直接見ることができたことだけでも満足感はすごかった. 夜は,今回の研修に参加しているメンバー全員で食事会が行われた.そこで初めて,自 分以外のグループの企業の方々と交流することができた.小松市長とも政治に関する話も できたし,市長の企業のトップの会話はとても興 味深かった.


SECTION5

4日目

  • 4日目( 23 日)は Caltrain に乗り,サンフランシスコに移動し, 観光スポットである Pier39 に行き,再び アンケートを行った. まず,電車に乗る際, 日本より IT 化が進んで いるのと思ったが, 自動改札もなく,正直,駅や電車に関しては日本がかなり進んでいる のかなと感じた.サンフランシスコ駅でも 駅員 が目視 でチケットを確認しており,無人化できるのになぜし ていないのか,とても気になった.その後, Pier39 でアンケートを行ったが,観光地ということもあり, なかなか快く承諾してくれる人がいなく,また,英語 がわからない人も多く,苦戦した.しかしなんとかこ こでも 10 人ほど承諾していただくことができた.し かし,よりアンケートの回答数が欲しかったため,サ ンフランシスコにある JAPANTOWN に行き,引き続きア ンケートを行った.ここでは声をかけた人全員が快く アンケートを承諾してくれた.やはり日本に少なから ず好意がある人たちであ ったのか,日本の大学生をい うと反応が良かった.結果, 11 人に承諾していただ いた. その後は,私の希望で, X(旧 Twitter )の本社を見に行った.研究でツイートを収集 し,分析を行っていたのでとても興味があり,直接見ることができてよかった.


SECTION6

5日目

  • 5日目( 25 日)は,午後の成果発表に向けて朝からチームでパワポ作成を行い,その 後,今回の研修参加者,別プロジェクトでシリコンバレーを訪れていた大学生団体,現地 で企業を目指す起業家などに対して成果発表 と懇親会を行った.現地起業家の方に,発表 を褒めていただき,また貴重なお話をさせていただき,とても刺激を受けた.他大学の学 生とも SNS でつながることができたので ,今後,日本でコミュニティを形成できれば今回 の研修はより成功になるのかと思う.

SECTION7

おわりに

  • 今回のシリコンバレー研修で,驚いたこととして,すでに 5G+ が導入されていたこと. そして自動運転車両がすでに公道を走行していたことである.通信速度が向上すること で,車両間の情報 やりとり もよりリアルタイム性が向上し,自動運転の安全性が向上す る. シリコンバレーを含むサンフランシスコは最先端研究の実験場のような感じがした. Uber で移動中 ,何気なく運転手に,「 I have the same car 」と会話を始めたとき, 「Japanese driver’s license is very difficult to get. So, you ’re great! It’s very easy in America America.」と言われ,日本に対して疑問が浮かんだ.難しい試験をクリア した人達が運転している日本で ,自動運転がまだまだ法律によって規制され,簡単な試験 をクリアした人たちが運転しているアメリカで は自動運転が なぜ 認められているのか.自 動運転車両の周りを走行する車両が難解な動作をする確率が低い日本でももっと積極的に 導入すれば ,自動運転先進国になれるのにと思ったし,今後,小松市が計画している自動 運転バスプ ロジェクトも,このサンフランシスコの現状をしっかり知っていただいけれ ば,今回のテーマ,「デジタル技術を駆使した観光復興」が実現できるのではないだろう か.

SECTION8

謝辞

  • 産官学合同シリコンバレー研修に参加するにあたり,公立小松大学の 職員の皆様および 小松市, 企業参加者 ,B-Bridge International Inc. の皆様,参加学生諸氏には終始一貫 して,暖かく親切丁寧な ご指導 ご鞭撻を賜りました.中でも,研修全般に渡り,多大な ご 協力と ご支援を賜りました小松市総合政策部 竹内裕樹 氏,公立小松大学保健医療学部 鈴木郁斗助教に心より感謝の意を表しますと共に厚く御礼申し上げます. 公立小松大学地域連携推進センター長 上田芳弘教授,公立小松大学地域連携推進セン ター 真田茂特任教授, B-Bridge International CEO ・公立小松大学 桝本博之特任教 授, 公立小松大学 岸本昌子特任教授, 公立小松大学地域連携推進センター 平田俊 氏 には,研修に関するご協力とご支援だけでなく,研修での心構えについてご指導を賜りま した.深く感謝する次第であります. 最後に,本研修への深いご理解と ご協力を賜りました 公立小松大学 山本博学長,小松 市 宮橋勝栄市長に 心より感謝申し上げます.