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STUDENTS

生産システム科学部2年 竹内聡太朗

SECTION1

研修に参加した動機

  • 約1週間、シリコンバレー研修に参加して、日本では考えられない発想や思想を現地で体 感し19月1日から9月6日までの約1週間 、 シリコンバレー研修に参加しました。本研修に参加す るに当たって 、 あらかじめ自分で定めたいくつかの目標がありました。まず 、 自分が日々大学 などで勉強していることが海外に出てどこまで通用するのか 、 またその学問が世界規模でどの ように活用されているのかを実際に現地に赴いて体感したいと考えていました。そして実際に 得た考え方や知識を持ち帰って 、 現在日本が抱えている問題を解決するためのヒントを得た いとも考えていました。また 、 私は元々自分の考えを相手にうまく伝えたり 、 人前でプレゼンを したりというような社交的な場面での振る舞いが得意ではありませんでした。具体的な将来の 目標も決まっておらず 、 今後自分がどのような進路を取るかも決めかねていました。今までは それでもやってこられたが 、 もう大学生にもなり 、 本格的に将来を検討していく際にこのままで はいけないと思い 、 今の時点での自分を知る意味も込めて今回の研修に参加しました。

SECTION2

班活動で学んだこと


  •  本研修では、 公立小松大学の学生だけでなく小松市の企業の方々やスタートアップ企業の 社長や高等学校教師などの社会人の方々とそれぞれ班を構成して定めた課題に一週間かけ て取り組みました。私の班では小松製作所が抱える問題を解決するために 、 生産システム科 学科1年の山口さん 、 スタートアップ企業の代表取締役社長を務める谷本さん(谷やん) 、 小松 製作所の製造管理を担当する渡辺さん(寛さん)と私の4人で知恵を絞りました。活動の中で 、 実際に社会人として活躍している人と同じ目線で課題に取り組んだり 、 互いにあだ名で呼び合 ったりして生の意見に触れたりと 、 今までは経験したことがないような刺激的な体験ができまし た。
     ハードウェア系の生産設備を手がける際の問題点として、機械などのプロトタイプ作成にコ ストがかさむ点,完成するまで問題点が分かりにくい点があり、その対策としてソフトウェア開発 行われるようなアジャイル型の開発方式を採ることが難しい点があります。 また、作業工程を 最初から理解している人がいなくなると、仕事のノウハウが分からなくなってしまいます。そこで, 我々の班のプロジェクト課題として,プロジェクト担当者と生産現場、設備に関連する部署、マ ネージャー間の情報共有を円滑にするための仕組みや方策を調査、検討することにしまし た。 そ のための案として 、 今まで培ってきた経験 、 知識 、 技術などの社内ノウハ ウを スムーズに引き 出すための仕組みを導入することや 、 社員一人ひとりが職場の環境を改善する意識を持ちそ のための意見を言い出しやすいような空気を作るための工夫など 、 シリコンバレーの企業では どのように行っているか現地の技術者にインタビューを行い 、 調査するという方針に決まりまし た。
     まずターゲットにしたのは Apple の社員です。なぜなら Apple の社員は一目でそうだと分 かる ようにバッジや名札のようなタイムカードを身につけている場合が多いからです。中国系の スーパー 、 カフェ 、 ビールハウスなど 実際に町に出てインタビューを実施し ました。質問内容は 、 どうしてシリコン バレーで働くのか 、 言語の壁がある人 と一緒に仕事する機会はあるか 、 社 員間でのコミュニケーションや情報を 共有する上で工夫していることや気を つけていることはあるかなどです。私 自身 、 言葉の通じない外国の地で世 界的な大企業で働くような技術者に 街頭インタビューを行うことははじめ ての経験であったため緊張して会話の 途中で混乱したりして失敗す ることも多 くありました。しかし 、 慣れない英語で 身振り手振りを交えて学校での研究の一環としてのフィールドワーク活動をしていると自己紹 介しながら回数を重ねていく内に 、 結果として多くの人が真剣に耳を傾けてくれたし 、 次第に 緊張よりも積極的に会話して互いに自己表現をすることの楽しさに気づき 、 同じ目線で相手と 会話しようと努力することの大切さを実感しました。その中で多くの人から 、 オフィスで社員間の 情報伝達を円滑にするために SLACK や CONFLUENCE などのコミュニケーションツールを用 いているという答えが得られました。また 、 社員同士でのミーティングの際 、 極力スムーズに情 報伝達を行うためのアジェンダを事前にまとめてコミュニケーションツールを用いて共有してお くといった工夫をしているという答えも得られました。
     これまで街頭でインタビューを行った対象は 、 多くが大手 IT 企業の社員や技術者であった が 、 小松製作所が抱える問題に対処するためには 、 ハードウェア系ならではの観点が必要だ と考えました。そこで私は日本からシリコンバレーに進出したハード向きの企業で 、 本田技研 工業の研究所である Honda R and D Innovations に勤務される瀬古さんにアポイントメントを依 頼しました。結局 b bridge の立食会のなかでラフな雰囲気の中1対1で質疑応答する形になり ました。そこで 、 ソフトウェア開発のように 、 完全にアジャイル型の製造ラインに載せることが困 難である以上 、 社員が実際に使用する場合を想像しやすいような仕組みを作ることに目を向 けるべきとのご指摘を いただきました。例えば 、 ウォー ターフォールの製造ラインに新たな設備 を導入する際にアジャイル型の製造ラインを取り入れるような形で再現度の高いレプリカやプ ロトタイプ 、 設計図などで詳細に示し 、 なるべく使用者に実感がわきやすいようにするなどの工 夫です。その間ハードウェアの場合であっても可能な限りサンプルの作成とテストの実施を繰り 返し課題の洗い出しを行いました。さらにこのときに現場の社員とマネージャーとが実際に手 を動かして試してみたりするなど 、 同じ視点に立って情報を共有することが大切であり 、 そもそ も役職を超えて話し合 い 、 意見を交換し合う機会を設けることがスムーズな情報伝達が可能な 職場の雰囲気作りへの第一歩なのだと言う意見を得ました。
     以上のことから大手 IT 企業のようにコミュニケーションツールを活用することと 、 ハードウェ アの製造ラインを円滑にするために必要な同じ視点に立って話し合うことで意見を出しやすい ような雰囲気を作ることの 、 一見対照的な二つの要素を上手く組み合わせることで 、 職場内で の円滑な情報伝達 、 ひいては人的トラブルの解消やベテランから新入社員への技術継承問 題の解決につながるのではないかと結論づけました。
     今後この研究を活用するに当たって 、 今回の研修で感じたことは 、 多種多様な業種が存在 し 、 どの企業もそれぞれに同じような問題を抱え 、 同じように模索し試行したりしているというこ とです。よってシリコンバレーで聞いたような話を持ち帰ってそのまま導入することも非現実的 だとわかりました。アイデアを持ち帰りそれをその企業に合うような形にカスタマイズしながら最 適な仕組みを模索するのがこれからの課題になります。例えば社員の要望や疑問点などから 検索し 、 過去の経験と参照するような AI を使ったチャットボットアプリなどの開発により一括して 社員 の要望を定量的に管理することが可能になり 、 これを活用すればわざわざ上司とスケジュ ールを調整して時間を割くというような手間が省けるのではないか 、 というのがアイデアの一つ です。このような形で多岐にわたる業種のリアルな意見に触れたことは良い経験となりました。

  • スーパーで Apple の社員にインタビューしている場面

SECTION3

講義や見学で学んだこと


  •  今回の研修で得たことをどのように自分にアプライしていくかというのは 、 つまりこの研修で 広げた視野を自分のこれからの学びにどう生かし 、 行動していくかだと考えます。元々 、 本研 修の目的の一つにシリコンバレーのプロアクティブな空気感を肌で感じ 、 それを日本に持ち帰 ってその後に生かそうというものがありました。しかし 、 いざヒロさんや才さん 、 現地で働く人や 学生など様々な人に触れる中で 、 いかにその自分の考え方が甘かったかを痛感しました。もち ろんこの機会に得たものを今後に生かすことは重要なことだが 、 その先にあるものの方がさら に重要なものであるということです。それはシリコンバレーという世界中から多様なビジネスが 集まる場所で 、 自分または自分の帰属する国や団体をどのように売り込むかという視点が欠 け ていたことです。これはセールスとマーケティングにおけるマーケティングで 、 自分の商品価値 を相手に知らしめる行為に相当します。ここにおける 、 プロアクティブに自分を発信していくこと でネットワークを広げ多様な人材とつながることの重要性を実感出来たことが一番の収穫だっ たと思います。この考え方が根底にあるからこそ 、 あるアイデアから 、 顧客に対して提供される 新たな価値を創造するイノベーションが生まれ 、 0から1を作り出す世界的なビジネスへと発展 し 、 また投資家が集まるというシリコンバレーのエコシステムが成り立っているのだと思 います。 以上のことから 、 私自身が掲げていた現在日本が抱えている様々な問題を解決するという目 的を達成するに向けては 、 まず自分の得意なことを模索し 、 自分に出来る仕事は何かを検討 することから始めようと考えています。印象だけでものを語ることの無いよう何事にも手を出して みること 、 そしてその積み重ねが後に経験として生きてくるという佐藤さんのアドバイスもとに 、 新聞やネットで積極的に情報を取り入れたり 、 大学でも色々な講義を幅広く履修したり 、 幅広 い分野に手を出し挑戦するようになりました。
     最後にこの研修期間中一緒に行動した 引率の先生や友達 、企業の方々、 b bridge の方々 、 他にも世話をしてくれたたくさんの方々に感謝いたします。本当にありがとうございました。